希少な貴金属であるイリジウムに目をつけ、世界トップシェアへ
株式会社フルヤ金属は1951年に金やプラチナなどの貴金属の地金販売及び貴金属装飾品の制作・販売で創業しました。その後1975年から工業用貴金属へと転身し、加工・回収が困難なプラチナグループメタル(PGM)に取り組むことで育んだ高度な技術で高純度・高品質の製品開発を続けており、工業用貴金属製品に特化した唯一の上場企業となりました。特にPGMの一つであるイリジウムを用いた製品において世界トップシェアを誇り、2020年に経済産業省が認定するグローバルニッチ企業100選に選出されました。
イリジウムとは
イリジウムはプラチナ精錬の副産物として、年間でたった4トン程度しか採掘されない貴金属で、非常に硬く融点が高いなど加工が非常に難しい性質を持っています。しかしイリジウムの持つ特殊な性質から、LEDなどの原料として使用される人工ファイアを作成するためのイリジウムるつぼや、2100℃まで温度測定が可能な熱電対など工業における様々な用途があります。
なぜイリジウム製品で世界を獲れたのか
株式会社フルヤ金属は上記のイリジウムるつぼで世界シェア9割を誇っていますが、その秘密は圧倒的な技術力にあります。従来イリジウムを用いた工業製品を作成する企業は、イリジウムの希少性や加工の難しさから、イリジウムの調達や加工技術を他社に頼ることで発展してきました。しかし株式会社フルヤ金属は、鉱山から直接イリジウムを調達し、溶解・加工・リサイクルの三工程を自社完結することで独自の技術を培ってきました。この技術によって、数カ月かかる製造工程を一週間に短縮できたり、作業効率が大幅に向上したといいます。こうした技術力によって他社の追随を許さない高品質なイリジウム製品の開発に成功し、世界シェア9割を獲得するに至っています。
「科学技術の発展と社会の繁栄に貢献する」
株式会社フルヤ金属は、「科学技術の発展と社会の繁栄に貢献する」を経営理念に掲げています。この理念に則り、独自の技術でイリジウム製品を製造するだけでなく、環境維持活動や社会貢献活動にも力を入れています。環境維持の観点では独自のリサイクル技術を応用し、産業廃棄物を年間50トン程度削減することに成功しています。自社の発展 にとどまらず社会に対しても貢献していくフルヤ金属の姿勢こそ、真の魅力なのではないでしょうか。
今後の展望
現在フルヤ金属の製品は、HDDや半導体、スマートフォン、タッチパネル、有機ELなどの電子デバイス向けから化学触媒など多種多様な分野で活躍しています。今後は世界中のデジタル化に伴い、5G・AI・IoT・自動運転・EV・燃料電池などの場面においてもフルヤ金属の技術や製品に対する需要は益々高まることが予想されます。今まで培ってきた幅広い提案力を活かして、そうした需要と期待に応え更なる発展をし続けていくと確信しています。