2019年6月14日にGinza SixのWeWorkにおいて
JAPAN MADE事務局主催で第3回目のAI Meetupが開催されました。
今回は民間でのデータ利活用において実践的なノウハウを蓄積し、AI・機械学習の活用において多くの実績を誇る株式会社グラフの代表取締役 原田 博植氏をお招きし、リクルートやIBMで、データ・AIプロダクトの収益化に貢献してきた第一人者が語る
「なぜAI開発は失敗するのか?予算/体制/技術などAIプロジェクト成功まで導く本当のコツ」
についてお話いただきました。
データの素材で価値が変わり、調理方法で価値が変わる
グラフはAIのベンチャー企業だが、その中でも珍しく黒字の会社だと原田社長は述べます。
その理由はデータを大量に持っている企業と直取引をすることで「データがないということはない」という状況にすることが最も大切で、各部門にデータベースがあれば大体は同じ構造になっているので利活用することが容易になると言います。
例えば店舗とオンラインでの行動データを処理するために、チームを組成しデータ分析コンサルティングを行う。実際にアパレルで取得できるデータの比率は、10%がオンラインで90%はオフラインだそうで、圧倒的にオフラインにおけるデータ量の方が多い。
お客さんが店舗のどこに立ち止まって、どこで購入を決めたかを凄腕の店員は、すべてキャッチアップでき、販売員の勤怠管理システムでレポートが上がって、そのデータも取れるのでどの店員をどこに配置することで売上が最大化するのかまでを予測ができるとのこと。
非構造で莫大なデータを処理することを得意とするグラフだからこそできる分析だ。
他国にデータを渡してしまっている日本
データという切り口で世界を見てみると、これほどまで他国にデータを流しているのは先進国では日本くらいで、ほぼほぼGAFAにデータを託している状況になっている。中国はBAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)がデータを国で守るようにしており、ヨーロッパではGDPRを2018年から実施し、非常に慎重な体制を取っている。
ようやく日本も、データ活用へ向けた環境整備に着手し初め、法整備やデータ開放、モデル開発など、情報現行も活発に議論がされるようになった。
自身のこれまでの活動を生かすべく、「第四次産業革命に向けた競争政策の在り方に関する研究会」にも参加し、国の活動も支援している。
参考リンク:https://www.meti.go.jp/press/2016/01/20170112001/20170112001.html
データ活用の高度化に必要な3ステップ
グラフは、データ活用が健全に進むことに貢献すべく3つのステップを意識している。
- データの集積
- アルゴリズム開発
- データエクスチェンジグラフは、データ活用が健全に進むことに貢献すべく3つのステップを意識している。
まず、データの蓄積は、意志を持って行うことが必要で、特に個人のノウハウになって共有されていないデータがあるのでこれを改善するだけで劇的に良くなり、更にデータベースの統合や情報の定量化を行うことで確実に成果が出せる。
アルゴリズム開発は、現状を正しく把握し、収益を上げるための最適解を予測して、次の手を打てるように開発する。例えば購入傾向を分析して、購入商品の顧客グループ化を行い商品開発にどう生かすか?アパレルの接客を変える、陳列を変えるなどの施策を提案することまでも可能とする。
データエクスチェンジは、テナントAとテナントB、それぞれの商品購入のデータの購入傾向からレコメンデーションを実施し、収益化を実現している。データエクスチェンジが更に進めば、企業間でのデータ共有による質の高いデータ活用が可能になる。
「マイル」はすでに仮想通貨みたいなもので、世界共通の通貨と言っても良いかも知れない。
データエクスチェンジの事例としては、リクルートで結婚のマッチングで結婚の情報が補足できたら、スーモで住宅を案内を行った。他にはホットペーパーグルメで周辺地域のランチを案内しポンバレで生活必需品の定期購入をレコメンドした。こういうことを現状、中国は国のレベルでやっており、データを連動させるデータエクスチェンジを進めることが重要。
Have a nice data!
動き続けていないと生き残れない。
自ら機会を作り出し、広げていきましょう!
と、話を締めくくって頂きました。