くろさき茶豆は新潟県で初めてGI登録を受けた産品です。くろさき茶豆は、独特の風味が特徴であり、後ほど詳しくお話しますが、一度食べたら病みつきになること間違いありません。ビールのお供には欠かせない一品です。
GI登録は、農林水産省が地域に根差した国の財産として認めたものに限りなされるもので、産品の基準などが統一されているかといったことまで審査されます。しかし、くろさき茶豆はGI登録を受けている産品でありながらも、個々の生産者様によってオリジナリティも持っているようです。一体どういうことなのでしょうか。
今回は、新潟市黒埼地区茶豆組合協議会で会長をなさっている、鷲尾 桂司 様に取材させて頂きました。
くろさき茶豆の魅力とこだわり
くろさき茶豆の魅力
独特の香りがあります。また、甘みがあるというのがくろさき茶豆でないと出ない味だと思います。それから、朝取りでその日のうちに市場に出ていくというところが他のところとは異なる点です。
おいしい食べ方
やはり、茹でて食べるのが一番だと思いますね。今は、電子レンジでチンするとか蒸すといったやり方もありますが、これは確かに甘みは増します。しかし、この調理方法ですと、えぐみが少し残ってしまうことがあります。
こだわり
鮮度にこだわっていますね。鮮度が良くないとうま味成分が落ちてしまいますので、取ってから3時間以内に冷蔵するとか、そういった点は気を付けております。
食べ始めたら止まらない <GI実食>
私もくろさき茶豆を調理して頂きました。
調理方法は以下の通りです。
- くろさき茶豆をボウルに入れ、しっかりと塩もみをする。
- 沸騰したお湯で3分半茹でる。
- お湯を切り、仰いで冷ます。
- 完成。
食べてみた感想ですが…、食べ始めたら手が止まりません。
気づいたらパクパク、パクパク食べていました。
豆の濃厚な味わいがしっかり感じられて、コリコリとした食感で非常に食べ応えがあります。塩でしっかり味付けてしまうのが勿体ないくらい枝豆本来の旨味が凝縮されていました。 私は生まれも育ちも関東ですが、臭みといったものは特に感じず非常に美味しく頂けました。お酒好きにはたまらないのは勿論、そうでない方もきっと一度食べたら手が止まらなくなると思います。
GIについて
協議会としての活動
協議会がGIをとりました。出荷組合は様々ありまして、その中で統一した意思と販売目的をもって活動しているのが協議会です。
きっかけは新聞社の社説
GIの制度ができたときに、新潟日報という新聞社がありまして、そこの社説で「新潟県ではどこがGI登録できるか」のような社説が載ったんですね。それを事務局の方が見て、「じゃあ、くろさき茶豆で取れるなら取ってみようか」というところで始まりました。
厳格な審査
どこまでの基準までを「くろさき茶豆」とするかですとか、そういう基準作りが大変でしたね。登録前の2年間くらいが、非常に大変でした。審査に通るための書類の量も膨大でした。 GI登録の審査は厳しいです。例えば、「地域で作ってないものは抜けましょう」、「後々の管理は誰がするのか」、「誰がどう審査してどう出荷しているのか」ですとか、そういう基準作りがものすごく大変でした。今でも、基準通りにやっているということをチェックするのが大変です。
GI (農林水産省) に望むこと
「GIって何?」と聞かれるので、業者や卸問屋向けにGI自体の宣伝を農林水産省にして欲しいです。東京では少しずつ認知は上がっているようですが、普通の八百屋とかにいくと全然知られていません。業者は知っているかもしれませんが、消費者まで情報がおりていません。
ブランド化 × オリジナルのハイブリッド
GI登録は受けましたが、生産方法をすべて統一したわけではないんです。個々の生産者さんは、自分のところの味が一番良いと思っていらっしゃいますので、これを統一するというのは難しいです。ただ「こういう農薬はだめです」といったような基準は設けております。GI登録の際に設けた基準は守ってもらいつつも、個々の良さを活かして生産しております。ブランド化とオリジナルの良いとこ取りといった形になっています。
今後の展望
目指すは認知度の上昇
協議会としては、関東での認知度を上げていきたいです。全国的な認知度を上げていくためには、広報なりを色々なところでやっていかなければならないのでしょうが、東京に出荷される量が今まで少なかったので。物量的には行っているのですが、表立ってモノがないです。個人のお宅への宅配は毎日のように行っているのですが、表立って店頭では売ってないですよね。もう少し店頭で売って、皆様の目に入る形にしていきたいです。
あまり知られていない正しい調理法
あとは食べ方・茹で方ですよね。関東の文化では、煮豆というのでしょうか。枝豆を茹でるときに5分や10分も茹でたりする風習がありますが、そのような調理方法ですと香りも甘みも飛んでしまいます。関東ではそのような食べ方が主流になっておりますし、居酒屋などでもそのようなものが出てきます。それが「違うんだ」ということを分かって頂けないかぎり、販売力は上がらないと思います。 茹で方、食べ方を説明しなくても正しく食べられるように、皆で認知度を上げていくしかないですね。そうしないと価格が上がらないですし、価格が上がらなければ「それなら新潟で販売できればいい」という形になってしまいますので。これからはそういうところが目標ですね。
GIの新しい在り方 <インタビューのおわりに>
製法の基準を作り、これを守ることで品質の統一化されている上で、農林水産省からその地域の特産品であると認められることによって、GI登録を受けることができます。しかし、その反面で、味が均一化されることにより各生産者の方々のファンは離れてしまうといった危険もあります。
GIにおけるくろさき茶豆のあり方は、GIの新しい可能性の提示になっているのではないでしょうか。